サーフィンでは、ゲッティングアウト、波を追いかける時、そしてテイクオフの時など、さまざまな場面でパドリングを使います。ですが、どの場面でも同じ強さで漕げばいいわけではありません。実は、パドリングはシーンごとに力の配分を変えることで、体力の消耗を抑えながら乗れる波を増やす事ができます。
特に初心者から中級者の方に多いのが、常に全力で漕いでしまうケースです。これでは必要な場面で力が残らず、いざ波に乗る瞬間にスピードが足りなくなります。逆に、力を入れるべき場面で入れられていないと、波に乗り遅れる原因になります。
今回は、サーフィンにおけるパドリングの力配分を「ゲッティングアウト」「波を追いかける時」「波に乗る時」の3つに分けて解説します。パドリングの質を上げたい方、テイクオフで乗り遅れやすい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
パドリングは常に全力でいいわけではない
サーフィン初心者の方ほど、「とにかく強く漕げばいい」と考えがちです。もちろん、強く漕ぐことが必要な場面もあります。ただ、すべてを全力でやってしまうと、無駄に疲れてしまい、本当に大事な場面で出力が落ちます。
パドリングで重要なのは、常に全力を出すことではなく、必要な場面で必要なだけ力を出すことです。これができるようになると、体力の温存だけでなく、波をキャッチする精度も上がります。
ゲッティングアウトのパドリング力配分
まずはゲッティングアウトです。基本的には、ここでの力配分は30%から50%程度で十分です。理由はシンプルで、沖に出たあとに体力を残しておきたいからです。
ゲッティングアウトで毎回全力を出していると、いざ良い波が来た時に思ったように加速できません。特に初心者の方は、沖に出るだけで疲れてしまい、その後の波待ちやテイクオフの質が落ちることが多いです。
ただし、例外もあります。
☑ 波が大きく、セットを早く越えたい時
☑ 試合中でアウトに早く戻りたい時
☑ 大会を想定したトレーニングをしている時
こういう場面では、**80%から100%**で漕ぐこともあります。波が大きい日はセットを何本も食らう方が体力を奪われるので、早く沖に出るために強く漕いだ方が有利です。試合でも先にピークへ戻ると優先権が得られるため全力で沖へパドルするケースが多いです。
つまり、ゲッティングアウトは基本的には省エネ、ただし状況によっては強く漕ぐ。この考え方が大切です。

波を追いかける時のパドリング力配分
次に波を追いかける時のパドリングです。ここはかなり幅があり、10%から100%まで変わる場面です。
なぜここまで差が出るのかというと、波のパワーや掘れ具合、自分とピークの距離によって必要な力が変わるからです。すでに良い位置にいるなら、少し位置を合わせるだけの微調整パドルで足ります。逆に、ピークが遠いのにその波を狙いたいなら、ほぼ全力で追いかける必要があります。
つまり、波を追いかける時のポイントは「どれだけ強く漕ぐか」ではなく、今どのくらい急ぐべき場面なのかを判断することです。
初心者の方は、遠い波でも中途半端な力で追いかけてしまい、結局間に合わないということがよくあります。逆に近い波なのに無駄に全力を出してしまい、乗る前に疲れるケースもあります。まずは、自分が今どれくらい良い位置にいるのかを冷静に見ることが大事です。

波に乗る時のパドリング力配分が最も重要
今回の中で一番重要なのが、波に乗る時のパドリングです。ここはさらに3つに分けて考えると分かりやすいです。
☑ 波の下のライン
☑ 波の中間ライン
☑ 波の上部ライン
この3か所で、力の入れ方を変えていきます。
波の下では20%から30%
波の下にいる段階では、まだ強く漕ぎすぎなくて大丈夫です。この段階で大事なのは、波との位置を合わせながら、無駄なくスピードを乗せていくことです。
ここでいきなり全力を出すと、タイミングがズレやすくなります。まだ波の力をしっかり使える位置ではないので、頑張りすぎると空回りしやすいです。目安としては20%から30%程度で、まずは波の動きに合わせていくイメージです。

波の中間では30%から50%
波の中間あたりに入ってきたら、少しずつ加速していきます。この場面では30%から50%程度が目安です。
ここでやるべきことは、テイクオフの準備を整えることです。まだ全力ではありませんが、明らかに波の下よりは力を上げていきます。ここで加速を始めておくことで、次の上部ラインで一気に出力を上げやすくなります。
この段階でまったく強めずにいると、最後にいくら頑張っても間に合わないことがあります。逆にここから少しずつスピードを乗せておけば、トップに向かって自然に加速できます。

波の中間を越えたら70%から80%、厚い波では100%
一番大事なのがここです。波の中間を越えたあたりから、一気に力を入れるのがポイントです。目安としては70%から80%。波が厚い時は**100%**で漕ぐ必要がある場面もあります。
なぜここで強く漕ぐのかというと、波の上の方は角度がきつく、最も引っかけたい場所だからです。ここでしっかり加速できると、波に押し出される感覚が強くなり、テイクオフの成功率が大きく上がります。
大事なのはトップに来てからではなく、中間を越えたあたりから一気に出力を上げることです。

なぜ中間から上で強く漕ぐのか
この理由を理解しておくと、テイクオフがかなり変わります。波の中間から上は、波の角度が強くなり、ボードを前に押し出す力も使いやすくなります。そこでしっかり漕ぐことで、自分のパドリングスピードと波の押し出す力が重なります。
この2つがうまく重なると、ボードが前へ走りやすくなり、乗り遅れが減ります。逆に、ここで出力が足りないと、波には持ち上げられているのに前へ出ず、そのまま置いていかれる感覚になります。
だからこそ、乗り遅れやすい方ほど、「どこで全力を出すか」を覚えることが重要です。全体を全力にするのではなく、後半で一気に強くする。これが大きなポイントです。
サーフィン初心者が意識したい練習方法
パドリングの力配分は、頭で分かっていても最初はなかなかできません。なので、海で練習する時は、次のように意識してみてください。
☑ ゲッティングアウトでは毎回全力を出さない
☑ 波を追いかける時はピークとの距離を見て力を変える
☑ テイクオフでは波の下は軽め、中間で少し上げる
☑ 中間を越えたら一気に漕ぐ
☑ 厚い波ほど最後のひと漕ぎを強くする
これだけでも、パドリングの質はかなり変わります。特に乗り遅れやすい方は、最後のひと漕ぎ、ふた漕ぎの出力が足りていないことが多いので、そこを重点的に意識すると変化が出やすいです。
よくあるQ&A
Q. いつも全力で漕いだ方が良いのではないですか?
良くありません。常に全力だと疲れてしまい、本当に大事な場面で力が出なくなります。大切なのは、シーンごとに力を変えることです。
Q. 波に乗る時は最初から最後まで強く漕ぐべきですか?
最初から全力ではなく、波の下では軽め、中間で少し上げて、中間を越えたあたりから一気に強くするのがおすすめです。
Q. 厚い波にいつも乗り遅れます。どうすればいいですか?
厚い波は最初の加速も重要です。波の厚さ具合にもよりますが、20%~30%よりも出力をやや上げて漕ぐ必要があるかもしれません。
Q. ゲッティングアウトで疲れてしまいます
力を使いすぎている可能性があります。基本は30%から50%程度で進み、必要な時だけ強く漕ぐようにすると体力を残しやすくなります。
あとはゲッティングでアウトに出ていく軌道も考えられると良いですね。
上級者の動きをチェックして同じ位置からゲッティングしてみましょう。
まとめ
サーフィンのパドリングは、ただ強く漕げばいいわけではありません。ゲッティングアウト、波を追いかける時、波に乗る時では、必要な力の入れ方が変わります。
特に重要なのはテイクオフの場面です。波の下では軽めに合わせ、波の中間で加速を始め、中間を越えたあたりから一気に強く漕ぐ。この流れができるようになると、乗り遅れはかなり減りやすくなります。
今までパドリングの力配分を意識してこなかった方は、ぜひ次の海で試してみてください。全部を一度に変えなくても大丈夫です。まずは「波の中間を越えたあたりから強く漕ぐ」という一点だけでも意識してみてください。そこが変わるだけでも、テイクオフの感覚はかなり変わってくるはずです。
プロサーファー黒澤賢一のマンツーマン専門のサーフィンスクールをやっています!
興味がある方は是非、下記スクールサイトをご確認の上でご連絡頂けますと幸いです!
https://kuroken19880730.wixsite.com/-site-1
YouTube動画でこちらの内容を見たい方はこちら↓